実際のスライダーの動きは、プレビュー/公開ページでご確認ください

☆ ご あ い さ つ ☆

このページを見にきてくれてありがとう。ワイは検子(けんこ)。国土交通省の「海事技術専門官」や。海事技術専門官とは、

1:日本船舶の安全性を検査する
  「船舶検査官
2:日本船舶の総トン数を算定する
  「船舶測度官
3:外国船舶の安全性を監督する
  「外国船舶監督官

この3つの業務に従事している国土交通省の船舶系技術職員の総称のことなんや。

ここからは、ナビゲーターのワイが、この海事技術専門官の仕事内容、魅力、試験案内、待遇、そのほか船に係わる様々な事柄について、フランクに、アグレッシブに、バリバリ語り散らかしていくで。どうぞ、ゆっくりしていってくれな。

紹介動画(北海道運輸局)

ページ目次

日本にとって船って重要なの?
最初に、島国である我が国日本にとって、船がどれだけ重要な役割を果たしているかを、データに基づいて説明するで。そして、海事技術専門官と船との関わりを改めて説明するで。
② 船舶検査官の業務
自動車に車検があるのと同様に、船にも定期的に検査が行われているんや。船舶検査官は、日本では100年以上(約140年)前から続いている歴史のある仕事なんやで。

③ 船舶測度官の業務
それが船であるのなら、愛用のコンベックス(メジャー)で、どんな流線局面だろうとビシバシ測って総トン数(船の大きさ)を算定してみせるで。

④ 外国船舶監督官の業務
人命の安全や海洋環境に多大な迷惑を引き起こす可能性のある整備不良の外国船は絶対許すまじ!日本に寄港する外国船に立ち入って監督を行うで。

⑤ 試験案内・待遇等
海事技術専門官になるための試験案内や。海事技術専門官には、人事院が実施する試験はもちろん、当局専用の試験を受けてもなることができるんや。この当局専用の試験について詳細に説明するで。その他、採用後の待遇や仕事観、業務の下地となる学問、エトセトラ・エトセトラについて、当局の若手職員のコメントも含めて踏み込んで紹介するで。
⑥ 教えて!検子たん
このコーナーでは、海事技術専門官を検討している方向けの進路相談情報や、船にまつわる様々な疑問・質問を、一部マニアックなものまで、一問一答形式で、かつてないレベル(当局比)まで踏み込んで、詳細に説明するで。


⑦ プロモーション
ワイが出演する海事技術専門官のイメージポスターや。(もはや暑苦しいまでの船に対する想いを感じとってもらえると嬉しいです。)




⑧ お問い合わせ・関係リンク
海事技術専門官が所属する全国の地方運輸局等の問合せ窓口や、試験案内や過去問の掲載先、その他関係情報がアップされたリンク先を列挙しているで。分からないことがあったら、最寄りの官署まで、レッツ・テレフォンや!


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① 日本にとって船って重要なの?

教えて!検子センセイ

日本にとって船って重要なの?

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日本は原材料等のほとんどが輸入!

上の表は原材料等の輸入割合を示したものや。表から分かるとおり、日本は、様々な衣食住にかかる原材料やエネルギー資源のほとんどを輸入に頼っているんや。うん、とくに木材以外はほぼ100%に近いレベルで輸入に頼っているということが分かるな。エネルギー資源にいたっては、ほぼ100%が輸入というのが実態なんや。

輸入のほぼ100%が海上輸送!

上の表は輸入の輸送形態ごとの割合を示したものや。うん、輸入はほぼ100%が船による海上輸送ということが分かるな。日本は島国だし、飛行機では輸送量が限られてくるから、結局、大量の貨物を輸送できる船に頼らざるをえないんや。つまり、船が止まると事実上日本は「詰み」なんや。「船が止まる = 供給ラインを絶たれる」とほぼ同義や。街中のお店の棚に並べられている輸入原料を基にした製品は、たちまち空っぽになってまうで。

国内間の輸送も約4割は海上輸送!

上の表は日本国内での輸送形態ごとの物資輸送量の割合を示したものや。うん、国内間の輸送でも約4割は船が担っていることが分かるな。これは意外な事実やろ。国外からの輸入はほぼ100%が船。そして国内輸送でも無視できない割合を船が担っているんや。もはや船なくしては日本の毎日の当たり前の生活は成り立たないんや。

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海事技術専門官と船との関わり

島国日本と船との関係、皆は理解してくれたか。我が国日本にとって、船、バリバリ重要やん!(自分で説明しながら、自分で改めて納得してしまったわ。)先の説明では、あくまでも代表的な例として、輸出入や海運についての話をとりあげたんやけど、ほかにも水産業関係のお仕事でも当然船は必要となってくるよな。これらの船が毎日当たり前のように動いて、その結果、島国に住む日本人の毎日の当たり前の生活が支えられているんや。そして、この船に関わる仕事というのは世の中にたくさんあるんやが、その中でも、海事技術専門官は、船に対する法令に基づく各種の検査や確認行為を通して、船そのものと、その搭載設備に起因する事故の発生を防ぐ仕事をしているんや。これは、乗船する船員の方々の安全を守るのはもちろんのこと、長じて、日本の毎日の当たり前の生活を守ることにもつながっているんや。ワイのオトンは船の修理工をしていたんやが、表立っては目立たんけど、言葉少なに背中で語る裏方のオッサンのプロの仕事ぶりと、そのあまりの渋さに、子供のころからバリバリとシビれておったんや。(オトン、めっちゃ、かっこええで!)だから、船の裏方として、船が当たり前に毎日安全運航することを陰ながら支えているこの仕事がワイ大好きなんや。

② 船舶検査官の業務

自動車に車検があるように、船にも検査があるんや。海事技術専門官の仕事の1つである船舶検査官は、100年以上(2026年現在で、実に約140年の歴史があるんやで!)の伝統を有する、日本でも有数の歴史ある職務なんや。船は一度建造されたら、海上という厳しい条件下で何十年もバリバリ使用されることになるから、新造時の検査はもちろん、就航後の適切な維持管理と定期的な検査が極めて重要になってくるんや。それをやるのがこの仕事や!そして、船舶検査官は船に施設する様々な物件の検査も個別にやっているんや。だから、船だけでなく、そういった個々の物件を作っている工場にも、検査に赴いてるんやで。

新造船の検査の一部を紹介

設計図面の審査
まずは設計図面の審査や。構造強度や復原性など、各種規則に応じた条件をその船が満足しているかをチェックし、さらに、各規則間を横断的に見た際にも設計数値に矛盾が生じていないかをチェックしているんやで。その他、船に備え付ける救命設備や消防設備等の配置や数なども法令要件に適合しているか細かく確認するんや。この設計図面の審査は、内容が多岐にわたるけど、基本的に現場で建造が進んでいる船本体の確認と並行して行っていくから、建造が進む前のやり直しがまだきく段階で確認を終えないといけない事項を優先してチェックしていくんや。
船体ブロックの検査
鋼船の船体は、造船所ではブロック単位で作られて、そのブロックを合体させて作られているんや。この場合、これらブロックを1つの船体として組み上げる前に、各ブロック単位で、それが図面どおりに仕上げられているか、また、溶接の状態が適切かを検査していくんや。写真のブロックは、船の上部構造物にあたる部分やな。このブロックは上下をひっくり返して置かれているから、写真では、実際は天井となる部分の仕上がりを見ているわけやな。ブロックを構成する各部材をどれくらいの間隔で溶接していくのかは、部材の用途や板厚などからルールで明確に決まっているから、これらのチェックも行っているんや。なお、鋼船が造船所でどのような工程で作られているのかについては、別のコーナーで詳しく説明するで。
各区画の圧力試験
この写真では、船体を構成するタンクに空気を張って、ハッチコーミングと呼ばれるタンク頂上の張り出し部から、空気漏れがないかの検査をしてるんや。要するに、就航後に、雨水や海水が、船外から船内に入りこまないような「密の構造」になっているかを確認してるんや。こういう構造は厳密には風雨密構造と呼ばれるんやで。
復原性試験
復原性試験は、船がほぼ完成した段階で、浮上中の状態で行われる試験で、重心査定試験と動揺試験からなるんや。このうち重心査定試験は、実際に出来上がった船の重心を測定するための試験なんや。写真をよく見ると、下層に見える水槽の中に、糸で吊り下げられた振り子(下げ振り)が納まってるんやけど、船の甲板上で左右舷にあるおもりを順番に移動させて、いくつかの傾斜状態を作りだし、その各傾斜状態ごとに、この振り子の読みを読んでいくや。そして、この各状態間の振り子の読みの差を計測し、これを所定の式にはめることによって、メタセンタ高さと呼ばれる値を計算で算出できるんやな。これをもともと設計上で弾いていた理論値と差し替えることで、最終的に仕上がった実船の実際の重心位置を、芋づる式に算定することができるんや。ワイは、理論と現実の答え合わせができるこの試験に立ち会うのがいつも大好きなんや。できるだけ正確な数値が出るよう、計算に影響してくる傾斜試験時点での船の積載状態を目を皿のようにして毎回確認してるんやで。
各種船内設備の効力試験
船に備え付けられた各種設備の効力試験も非常に大事な検査となるんや。写真は火災探知装置の警報が規定通りに作動するかの試験を実施しているところや。2つ以上の火災探知区域の同時火災状態においても警報が適切に作動する必要があるなど、細かい条件があるんや。こういった各種船内設備の作動試験は、新造時はもとより、就航後の検査でも定期的に行っているんやで。こういった非常時にしか使わないような設備の正常機能を担保することが、結果として船の安全運航につながっていくんや。(これはとても大切なことやから、ワイは、このあとも繰り返しこのことに言及すると思います。)
海上試運転
最後に実際に仕上がった船を実際に試験運転して、法令要求を満足しているかを確認するんや。各種機器類が正常に稼働するかどうかの確認はもちろんのこと、その他、船のエンジン回転数に応じた速力や、操舵試験、旋回試験、後進試験などの各種データの計測もこのタイミングで行うんや。ここで計測したデータがこの船の仕様ということで決定されるんや。そして、この海上試運転が終了し、法令で求められている確認がすべて終了したら、当局から正式に船舶検査証書(自動車でいう車検証)が交付され、晴れて社会で活躍する船としてデビューするんや。
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        船に施設する物件の検査(予備検査)

船舶検査官は、船に施設されることとなる一部の法定物件については、それぞれの製造段階や、改造・整備・修理の段階で、船本体の検査とは切り分けられて、個別に検査を行っているんや。これらは船に納品・再施設される前の段階で、その物件単体に対して検査を行うこととなるので、「予備検査」と呼ばれているんや。予備検査の「予備」は「リザーブ(追加の備え)」ではなく、「船に搭載する前にめ検査してえる」の趣旨やな。予備検査物件は多数あって、「製造」の予備検査、「改造・修理・整備」の予備検査、の大きく2つに分けられるんやけど、ここでは「製造」の予備検査から2つほど事例を紹介するで。こういった個別物件に対しては、当該物件の製造事業者さんの工場等に直接伺って検査を行うんや。だから、船舶検査官は、造船所や船以外の場所にも頻繁に検査に赴いているんやで。

電動機(モータ)の検査
写真は、電動機(モータ)の検査をしているところや。検査項目はいくつかあるけど、これは仕上がった製品に対して、絶縁抵抗試験を実施しているところやな。船に設置するものに限った話ではないけど、電気機械は、漏電を防止するため、絶縁抵抗が一定値以上となっていることを担保する必要があるんや。 スマホの充電ケーブルが、電気抵抗の高いビニール類で被覆されているのも漏電から守るためやな。電気が本来流れてはいけない場所に漏れ出ないように製品自身が一定以上の電気抵抗値を持っているかを実際に計測して確認しているんやな。
ボートダビットの検査
写真は、ボートダビットの荷重試験を行っているところや。ボートダビットというのは、船に搭載している救命艇のような搭載艇を、船の甲板上と水面間で揚げ卸しする装置のことや。(ボートダビットが船上に搭載されている写真は、追って説明する外国船舶監督官のコーナーの中にあるで。)船の甲板から水面までは、実際には相当な高さがあるし、そもそも艇を甲板上に備え付けているときは、船幅方向で船体中央に向けてやや引き込んだ状態になっているから、これらの艇を実際に使用する際は、まず船幅方向にいったん艇をシフトさせ(振り出し)、その後に、高さ方向に揚げ卸す行程が必要となってくるんや。この行程をこなすことができるのがこのボートダビットやな。このように、船本体の付属設備である搭載艇のそのまた付属設備となるようなものでも、物品単位で船舶検査官による検査が行われているんや。
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(コラム)船の検査の種類と期間

自動車の場合、新車なら最初は3年目に、それ以降は2年ごとに車検を受けることになっているけど、船の場合、検査には、定期検査、第1種中間検査、第2種中間検査、第3種中間検査という4種類の検査があって、このうち「定期検査」というのが、自動車でいうところの「車検」に相当する検査なんや。そして、船は航行区域や種類に応じて、5年あるいは6年の間隔でこの定期検査を受けていくことになっているんや。自動車の場合、車検と車検の間では「点検」をすることになっているけど、船の場合は、定期検査と定期検査の間の中間状態のときにも中間「検査」を受検して一定の安全基準を満たせているかを確認しなければならないんや。この船の検査の期間や種類は、国際航海(1国と他の国との間の航海)をするかどうか、また、「旅客船」か否かで、とくに大きく変わってくることになるで。このうち、国際航海をする船の検査の期間は、国際条約(国際的に取り決められた約束)の基準と一致するように日本の制度は作られているんや。具体的には図の上から1番目と2番目の軸がそうや。また、図の上から3番目と4番目の軸を比較してみると、国際航海をしない旅客船と同非旅客船(例えば貨物船)では、検査の間隔に大きな違いがあることが分かるな。具体的には、旅客船の場合だと、毎年、第1種中間検査が求められているのに対し、非旅客船の場合は、定期検査と定期検査の間で1回だけ第1種中間検査を受ければいいということが分かるな。明らかに旅客船のほうが検査の間隔が厳しくなってるんや。これは、非旅客船には基本的にプロの船員さんしか乗らないのに対し、旅客船には、一般人つまり船の業界とは無関係の老若男女誰でもが一定数以上旅客として乗る可能性があるからや。だから、旅客船の検査間隔のほうが非旅客船の検査間隔よりも遥かに厳しくなっているんやな。なお、何をもって「旅客船」というかは、その船が旅客を13人以上乗せる仕様か否かで判定されるんや。旅客12名以下の船は、制度上は「非旅客船」という扱いとなるんや。なお、自動車の場合、「車検証」が車ごとに交付されているけど、船の場合は「船舶検査証書」というものが交付されていて、その中で旅客を何名載せられる仕様となっているかが明記されているんやで。

就航後の検査(定期検査、中間検査)の一部を紹介

船底の検査
先のコラムにあるとおり、船が就航した後、定期検査、第一種中間検査、第三種中間検査のタイミングになったら、船は受検にあたって、まず造船所に入ってもらう必要があるんや。これらの検査タイミングで、普段水面下にあってみることができない船の下回りの安全確認を行うためやな。写真のように、船舶検査官は、これらの検査においては、船底に過度な凹みや割れなどの損傷がないかを細かくチェックしていくことになるんや。また、上側にある写真は、船底付近にあるシーチェストと呼ばれる海水を船内に吸入する区画を解放して、その中に腐食や損傷がないかを見ているところや。(なぜ海水を船内に吸入するかは、別のコーナーで詳しく説明するで。)
航海設備の検査
船が搭載している各種の航海設備についても検査を行うで。写真は左上から、揚錨機(ウインドラス)、錨、錨鎖の現状確認並びにブリッジ内の操舵説明書の掲示確認を行っているところや。錨の検査ではクラウン(左右に伸びる基部の部分)とシャンク(中央の軸)をつなぐピンのところにガタやゆるみがないかを見ているんや。錨鎖については衰耗の許容限度は決まっているから、写真は、事前に提出される計測記録を参考に、ハンマリングや手触りで実際の衰耗の程度を確認しているところやな。そして操舵説明書についてなんやが、船の場合、操船不能となった場合に備えて、必ず主操舵装置とは別に補助操舵装置を備えておかなければならないんや。そして船員さんが非常時に素早くこれを切り替える動作がとれるよう、主操舵と補助操舵を切り替える仕組みや操作の手順を記載したものが操舵説明書で、これを船橋に掲示することは、法令で明確に義務付けられているんや。この説明の中で、船橋から操作する制御系統と操舵装置の動力装置の切り替え手順などが明示されているから、船員の皆さんがいつでもこれを確認できるようにしているんやな。
満載喫水線標識の位置確認
写真の中央付近に、逆三画のマークが見えているけど、これが満載喫水線(まんさいきっすいせん)を示す標識や。満載喫水線とは、船を沈めてもよい限界線のことや。この標識が指し示す位置が、船の高さ方向で変更されていないかを検査で見ているんや。物をより多く積みたいからといって、この位置を検査したときから、こっそりと上に上げたりすると、予め計算している設計限界を超えて積載することになるので、復原性が悪化した結果、転覆などの危険性が上がってしまうんや。(この満載喫水線については、別のコーナーで詳しく説明するで。)
機関の解放検査
船の場合、機関の解放検査も行うんや。自動車の車検では、通常ここまでのことはまずしないけど、船の場合は洋上でエンジンにトラブルが発生してしまったら、漂流してしまう危険性があるので、法定検査としてここまでバリバリやってるんや。船舶検査官が携わる一定以上の大きさの船のエンジンは、ほとんどがディーゼルエンジンや。写真でうっすらと機関の各部品の表面が白くなっているのが分かるやろ。これはカラーチェック(染色浸透探傷試験)という非破壊試験の1つで、エンジンの部品に欠陥が生じている場合に、それを可視化するための処理なんや。具体的には、赤色の浸透液を部品に塗布し、その後に白い現像液をスプレーすると、傷やクラック(ひび割れ)があれば、それが赤い線となって浮かび上がってくるんや。拡大写真にある内歯の歯車の写真中央部にうっすらと縦に薄い線がはいっているのが分かるやろ?これがカラーチェックで浮き上がったクラック(ひび割れ)や。どの部品のどういった部位に、欠陥が発生しやすいというのは、ワイらも多数のエンジンの解放検査を通して、経験上つかんでいるから、造船所の方々が事前に発見できなかったものを、船舶検査官が見出すということも往々にしてあるんやで。
救命・消防設備の検査
船には、普段、船が問題なく運航しているときには一切使用することがなく、非常事態の時にしか使わないような、救命設備や消防設備が備わっているんや。具体的なものとして、救命胴衣や、救命浮環、救助側に救命シグナルを出すための火工品、退船時に使用する救命艇や、落水者等を救助するための救助艇、火災に備えるための消防ホースや消火器、船外からの消火支援者が、船内設備の参照情報とするために船内の消火設備配置を示す火災制御図、といった多数の救命・消防の設備が法定備品として備わっているんや。そして、これらの法定備品の検査もすべて海事技術専門官が船舶検査として行っているんや。とくに、船上で暴露状態で設置されているような設備は、常に潮風にさらされているので、普段から陸上とは比較にならないくらい厳しい状態におかれているんや。これらが非常事態のときに、正常に作動するかしないかで、人命が助かるかどうかが大きく変わってくることもあるから、検査のタイミングで、これらのコンディションを確認し、実際にきちんと作動するかを確認する行為はとても重要になってくるんや。
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(コラム) 船の航行区域

どこにでも自由に行ける自動車やオートバイと違って、船の場合、「航行区域」という概念があって、個々の船ごとに行ける範囲が決まっているんや。具体的には、船の板厚や構造の程度、設備の状況などによって、どこまで航行してよいかが船ごとに決まっているんや。陸岸から遠くに行けば行くほど、これらの技術基準はどんどん厳しくなるから、それだけ作るのも維持するのも費用が大きくなっていくわけやな。船主さんは、ご自身がその船をどのように使うのかということを最初によく踏まえて航行区域を定め、造船所に発注しているんや。この航行区域は大きく次の4つに分かれているで。

平水区域
湾に囲まれたような比較的波が穏やかな水域のことや。図では、便宜的に西日本部分を抜粋しているけど、全国に約50地域ほどが個別に指定されているんや。図の水色のエリアやな。このほか、湖や川、港内の水域もこの平水区域になるんや。
沿海区域

沿海区域は陸岸から20海里以内の水域のことや。図の水色の部分やな。1海里は1マイルとも言うけど、これは1852mのことや。だから、陸岸から20海里というのは、陸岸からおおよそ37キロ前後ということになるな。例えば、本州と沖縄を結ぶ船を作りたいというのであれば、平水区域の基準で船を作っても検査には合格しないんや。図をみて分かるとおり、最低でもこの沿海区域の技術基準を満たせるように作る必要があるということやな。

近海区域

図の四角の経度・緯度で囲まれた範囲が近海区域や。近海区域になると一気に範囲が広がるな。具体的には東南アジア近辺まで行けてしまうことになるな。なお、日本の国内にあって、沿海区域を超える地域には行きたいんだが、この近海区域ほどの航行区域は必要ない、というニーズが一部あるんや。例えば、東京から南に約100kmほどの位置にある伊豆諸島の島々に行く場合などやな。この結果、「限定近海」という沿海と近海の間くらいを定めた概念も、日本の制度上は存在していて、「限定近海」という基準で建造されている船もあるんや。

遠洋区域

最後に遠洋区域や。この遠洋区域というのは地球上のすべての水域のことを指すんや。近海区域を超える地域に行きたい場合や、地球上のあらゆるところに行きたい船を望むなら、この遠洋区域の基準で作らなければならないんや。これは最も厳しい技術基準や。例えば、世界各国を国際航海するクルーズ客船というのはこの基準で建造されているわけやな。

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③ 船舶測度官の業務

日本船の総トン数(大きさ)を算定する。

みんなは「測度」という言葉を聞いたことがあるか?測度は、自動車にはない船だけの概念や。船の総トン数を算定することを「測度」というんやが、そもそも船でいう「総トン数」というのは、重さのことではなくて、船体の囲われた場所の容積、つまり、船の大きさを示す指標のことなんや。この船の総トン数を、実際に船舶に立ち入って算定し、公証するのが船舶測度官の仕事なんや。海事の世界では、船舶測度官が算定した総トン数が、船に関係するありとあらゆる制度の拠り所になるんやで。

船の総トン数(船体の囲われた場所の容積)が指標として使われている例

  • 船の技術基準
  • 船員の配乗基準
  • 港の使用料金の基準
  • 運河の通航料金の基準
  • 船の保険や税金の基準
  • エトセトラ、エトセトラ
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新造船の測度の流れ

1.設計図面のチェック
船の総トン数を算定するためには、船の全体像、構造及び各部の寸法等の詳細を掴む必要があるんや。そのため、まずは造船所から提出された図面を基に、船の大きさや形状、構造及び各部分の寸法等を読み取って、実際に現場で寸法を計測する場所を整理していくんや。船においては「総トン数」が、あらゆる海事ルールが拠って立つ根幹となるということは先にも説明したけど、なかでもとくに、船の技術基準に与える影響が大きいんや。というのは、船は総トン数によって技術基準に違いがあるからなんや。例えば、総トン数が200トン未満の船と、200トン以上の船では、法令上、船に求められる施設が大幅に変わってくるんや。このため、前提として199トンで計画していた船が、実際に測ってみたら200トンあった場合、そもそも、仕様上200トン以上の船として考えていないから、船舶検査に合格する技術基準を満たせない、ということがありえるわけやな。だから、船舶測度官は、まだ船体が完成していない段階から、建造造船所とコミュニケーションを取りながら、そういった総トン数の変動リスクが生じえないか、詳細な寸法確認を行って業務を進めていくんや。
2.実際の船の寸法計測
次に、先の1で確認した内容をもとに造船所へ赴いて、実際に船の各部の寸法を計測するんや。当然、この作業は造船所で実際に船体部分が仕上がった後でないとできないから、概ね全体工程における「進水」の前あたり(船体が仕上がってもうすぐ進水させられそうな状態)から、行っていくことになるんや。この段階では事前にどこを計測するかの整理はもうできているから、あとはコンベックス(メジャー)を用いて、実船の所定の箇所をどんどん実測していくことになるで。なお、この現場での実測は自身でやってみるとよくわかるけど、測り取るための様々な現場ノウハウがあって、コンベックスの取扱いも含め、経験・場数を多分に要する実務となってくるんや。とくに、船の上甲板上にある直方体や立方体に近い区画のようなものばかりならまだしも、上甲板下の曲面形上の寸法も測り取る必要があるため、船舶検査官、船舶測度官、外国船舶監督官の3つの中で、最も職人的要素が強い業務といえるんや。せやから、船舶測度官の業務は何年もかけて体にそのノウハウを染み込ませていくものとなるんや。
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3.総トン数計算書、船舶件名書の作成

1、2により船体の諸寸法の測度を行って、総トン数を算定するのに必要な数値を実船から求める事が出来たら、最後に「総トン数計算書」の作成をもって、その船の総トン数を算定するんや。この計算書の中では、多数のページに渡って船の甲板上及び甲板下の各区画の算定容積が詳細に記載され、最終的にその船の総トン数を算定するに至るまでの各種計算式が細かく記録されているんや。そして、船の閉囲部分の総容積に対し、法令で定められた一定の係数を乗じて、最後に「総トン数」という単位に変換した数値が決定されているんやな。「総トン数計算書」を算定したら、続けて法務局で船舶登記を行う際に必要書類となる「船舶件名書」という書類を作成するんや。ここまでが船舶測度官の業務であり、法務局での登記が完了後に、再度、当局から日本船舶であることを示す公的な書類である船舶国籍証書が交付されるんや。なお、登記と船舶国籍証書については、この下のコラムで取り上げているので、こちらも参照してみてくれな。

就航後の総トン数確認(検認・改測)

船の就航後は、船舶検査のタイミングにあわせて「検認」を行っていくんや。検認とは、船舶国籍証書に記載されている事項、例えば、総トン数や主要寸法が、同証書を交付された時点と現状とで変わらず一致しているかを確認する行為のことや。この検認は、船種に応じて書類の確認のみに留めるものもあるけど、船舶測度官が実際に船舶に臨検する「実船検認」が、一部の船種を対象に実施されているんや。また、船は就航後に、実際の使い勝手に即して構造の一部を改造する場合があるんや。こういった場合、就航時点で算定した総トン数に変更が生じることになるから、改造部位の測度を再度行って、船の総トン数を再度算定しなおす必要が生じるんや。これを「改測」というんや。繰り返しになるけど、船の技術基準は総トン数に応じて決まっているから、改造工事の結果、大きく技術基準が変動することとなる総トン数の数値をまたいでしまうことになると、船に施設しないといけない設備や、構造条件が変わってしまって、船舶検査そのものをやり直すことにも繋がりかねないんや。だから、無断改造を防止する観点からも、船舶検査と並行して、定期的に総トン数の変動が生じていないかの確認行為も必要となってくるんやな。

(コラム)どうやって実際の船の曲面形状部分の容積を算定するのか?

船は水面下の形状が曲面形状になっているものが多いよな。直方体のような簡単な構造ならその容積も簡単に算定できるけど、曲面形状になるとそうはいかんはずや。では、船舶測度官はこの容積をどうやって算定しているのか。ずばり、シンプソンの第一法則という近似式を用いているんや。ある曲線の式が分かっていない場合でも、図のように、一定区間hで分割されたそれぞれのx方向ポイントでの当該曲線のyの値(:y0、y1、y2)が分かれば、曲線で囲まれた面積SABCDは、図に示す式で近似できるんや。これを活用して、船体を長手方向や幅方向に各区間に分割し、図でいうところのhの寸法を予め決定した上で、yの値を実船の各ポイントから測り取り、その結果を組み合わせて容積を算定していってるんや。「これは近似値だから、容積を正確に算定していないのでは?」という疑問を持つ人もいるかもしれんが、あくまでも、海事制度にかかる拠り所となる指標として、船の総トン数を算定しているのやから、ここで大事なことは「共通のルール・共通の算定方法をもって、各船の総トン数を同条件下でもって算定する」という観点や。社会指標としての総トン数を横並びの条件下で各船毎に見出す、というのが船舶測度官の業務本質といえるで。

(コラム)船は「動産」なのに「不動産」?

自動車やオートバイにはなくて、船にはあるものとして「登記」があるんや。登記というのは、その財産に関する権利や義務の情報を公的に記録する制度のことや。それが誰の所有物なのか、どういった仕様か、といったことを公的な記録として明確にすることでこれらに関わる揉め事を予め防止するための制度やな。家のような「不動産」を買った場合、法務局に対してこの「登記」が発生することとなるけど、総トン数が20トン以上の船も、こういった不動産と同様に、法務局に対して登記をすることが制度上義務付けられているんや。この場合、何トンの船なのかを明確にしないと、法務局で登記の手続きをすることはできないから、それを公証するのが船舶測度官になるんや。法務局自身は船の専門家ではないから、あくまでも船舶測度官が算定した総トン数計算書や船舶件名書といった書類を公的証拠として法務局は登記を行っているんやな。このため、船舶測度官は船の登記事項を事実上公証する海事のルーラーともいえるんや。法務局に登記がなされ、日本船舶として当局が登録を終えたら「船舶国籍証書」が交付されるんや。そしてその日本船舶に対して船舶検査が為され、安全基準に合格していることが担保されれば、「船舶検査証書(自動車でいうところの車検証)」が交付される、という流れになるんや。船は自動車に比べて必要となる手続きが多いんやな。

④ 外国船舶監督官の業務

PSC:日本に入港する外国船の設備や船員資格が適切か立入検査を行う。

外国船が整備不良のまま航行し、各国の沿岸で海難事故を起こしてしまうと、人命はもとより、座礁船として放置されたり、油漏れ等の環境被害を沿岸国に引き起こす可能性があるんや。このため、外国船の寄港国は、その権利として、入港している外国船舶に立ち入り、国際条約に定める設備や船員資格の基準等の適合性について検査を実施してよいことになっているんや。これを日本では地方運輸局の外国船舶監督官が行っているんや。国際的な正式名称はPSC(Port State Control:ポートステートコントロール)というんやで。日本の場合、PSCは2人1組のバディ制(技官1名、事務官1名)で行うのが基本構成や。海事技術専門官は技官のPSCオフィサーとして船の設備関係の健全性を中心に担当することになるで。

外国船舶監督(PSC)の流れ(訪船から立入り終了まで)

PSCでは、条約証書の確認、船体構造の健全性、救命・消防設備、海洋汚染防止設備、船員の資格証明書及び船舶の保安の確保等について国際条約に基づいた検査を行っていくんや。この結果、国際条約の基準に適合していなければ、その欠陥に応じて「技術基準適合命令」を代表とする、現状を是正するための各種の行政命令(是正命令)を発出するんや。この命令が発出された場合、原則この命令を履行するまで、その船は出港できなくなるんや。もしこの命令に従わずに出航しようとした場合は、出航そのものを認めない航行停止命令を発出することになるで。安全基準に適合していない状況で航行すると、事故を起こしてその船だけでなく周りの船にも大きな迷惑を及ぼす可能性が高くなるんや。だから、基準を満たさずに日本に入ってきた外国船には、こういった毅然とした対応が求められてくるんやで。なお、日本の船が外国の港に入っているときもまったく同じように、その国からPSCを受けているんやで。
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写真でみるPSCの流れ

外観確認

船内に入る前にまずは外観チェックや。船体に大きな凹みやひび割れなどの損傷がないか、その他、水漏れ、油漏れなどがないかをよく確認するんや。その後に乗船タラップから外国船の船内に入っていくで。この場合、日本に寄港していたとしても、その外国船の船内は、日本ではなく外国という扱いになるんや。だから乗船する際は、船側も慎重なセキュリティチェックを行ってくるで。なお、乗船してから下船するまでのPSCの所要時間は、ざっくりとやが、概ね2~3時間程度というのが一つの目安やけど、重大な欠陥が見いだされた場合などは、乗船してから下船するまで半日近くを要することもあるんや。

書類確認

船内に入ったら、船長さんをはじめとする船の士官クラスの船員の方々と会談して、船のもつ各種条約証書や、各船員が相応の海技資格をきちんと所持しているかの免状、船内設備の点検や整備の記録、船内で発生したごみや油の管理記録など、国際ルールで求められている書類や記録類を1つ1つ確認していくんや。国際航海をする船舶に求められてくる国際条約に基づく書類は膨大にあるから、この書類確認だけで、1時間以上かかることも往々にしてあるんや。

船内巡回1

書類確認が終われば、船内巡回が始まるんや。ここからがPSCの本領となってくるな。写真は、船のブリッジで、海図や無線設備、その他必要な航海用具の備置き、今後の航海計画や、航海日誌等の記録類の確認を行っているんや。船内巡回では、基本的に目視と船員に対するインタビューをもって異常の有無を確認することとなるけど、外国人船員の方との会話は基本的に英語になるから、現場で場数を踏まないと得られない(逆にいえば向上心をもって、場数を踏んでいけば、ある程度見えてくる)PSCならではの経験の積み上げが求められてくるんや。英語での会話については、次のコラムも読んでみてくれな。

船内巡回2

続いて外回りの備付設備の確認や。写真は、非常退船時に使用する救命艇やな。艇とその関係設備に問題がないかを確認しているんや。写真の、クレーンが付いた救命艇を船上に吊っている白いアームが救命艇のボートダビット(振出装置)やな。ダビット本体部分が、根本付近にあるガイドレールを斜め下方向にスライドして動き、その後ワイヤーを降ろして救命艇を海面に着水させるんや。船舶検査官の説明のところでも話したけど、こういった救命設備は、船が正常に運航している時には全く使わないので、平常時の維持管理体制がとくに重要になってくるんや。万が一の事態が発生したとき、これらが正常に作動するかしないかで、人命が助かるかどうかが大きく変わってくるからな。もちろん、これらを動かすための船員さんの普段からの訓練も大事や。設備はきっちり動くけど、扱い方を知らないのではやはりどうにもならんからな。

船内巡回3

ここからは機関室などの船の動力をつかさどる内部区画の確認やな。写真は船のステアリングルームに異常がないかを確認しているところやな。船員さんらが普段よく船内で意識して目にしているところと、PSC担当官自身が意識して目にするものには違いがあることが多くて、その結果、船員さんが気づいていなかった欠陥が見いだされることがよくあるんや。とくに機関部は船の動力に直結しているところやから、巡回中も細かいところまで注意を怠らないで。中でも、同じような船齢、同じような大きさの別の外国船で、欠陥が生じていた部位などは、繰り返しPSCをしていると意識してチェックするようになってくるんや。PSCは様々な外国船の機関室を見ているから「類似の他船ではここに欠陥が出ていた」といった相場観が自然と自分の中に醸成されてくるんや。その意味で、PSCも検査官や測度官と同様に経験がモノをいう仕事といえるで。

船内巡回4

PSCでは、必要と判断すれば、船員さん自身に機器の操作や作動のデモンストレーションを行わせることもあるんや。この写真は、機関に備わっている警報装置の確認を行っているところやな。具体的には、エンジンに備わっているオイルミストディテクターという、オイルミスト(エンジンのクランク室内で潤滑油が熱をもって蒸気となった状態)の濃度を計測する装置が、実際に指定値で警報が鳴るか、テスト回路を使って作動試験を行ってもらっているところや。運航中にこの濃度が上がりすぎるとエンジン火災や爆発の危険があるからな。この設備が正しく機能するかという観点だけでなく、担当する機関職員が、これらのテスト回路を当然のように作動させられるか、という力量の確認も併せてしているんやな。

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(コラム)外国船の船員の方々との会話

船の世界でも、世界共通の公用語は英語や。だから外国船の船員の方との会話は英語が標準になるんや。これを読んでるそこの君!今「うっ」てなったやろ?果たして、自分にできるのかと思ったんやないか?。この仕事では、船にかかる技術的な事項を英語で伝えていかなければならないから、日常英会話の訓練だけではどうにもならない側面もでてくるんや。そうすると輪をかけてさらに難しいという印象があるよな。ところが、実際にワイがやってみて思ったのは、あながちそうでもないということや。(もちろんはじめて訪船したときはフリーズしたけどな。)PSCは、訪船後の業務の基本的な流れや、確認する書類などが概ね定まっているから、その節々で外国人船員の方と会話をする際の定型句というものも、ある程度までは決まってくるんや。だから、PSCの一連の流れにおいて「型」として成立する定型句を繰り返し使っていくことで、自然とその場に応じた適切な英語が口から出てくるようになり、意思疎通もどんどんやりやすくなっていくというのが、ワイが実際にこの業務に従事して得られた経験則や。無限のシチュエーションがある日常英会話そのものを訓練して、それをPSCに応用していくというやり方も、それはそれで大切やと思うけど、PSCという限られた状況下で使う定型句に絞って、そこからボトムアップしていく手法のほうが大いに有効、というのがワイの持論や。要するに臆することなく、まずやってみるのが大事ということや。どんな仕事にも何かしらの「型」というものが存在すると思うけど、「型」は先人が生み出した知見の塊や。だから、何をするにしても「型」をないがしろにしてはあかんのや。まずは奇をてらうことなく型にはめ、自分なりに試行錯誤しつつ繰り返していくことで、PSCとしての英会話が自然と口からでる言葉に変わっていく瞬間が必ずやってくるで。また、仮に口から出た言葉が、真に正しい英会話フレーズではなかったとしても、先方に伝わるフレーズ、というものも確かに存在するんや。だから細かいことは気にする必要はないということや。何より最終的には、純粋な英会話能力より「聞き取ろうとする意志」と「伝えようとする意志」のほうが大事や。なんちゃあない。PSCは英会話をするために訪船しているんやないんや。最初から美しくエレガントに会話する必要もない。手段と目的を履き違えてはあかんのや。あくまでも外国船の監督という業務遂行のため、強い意志をもって、身振り手振りもいくらでも使って、泥臭くやっていれば、いつの間にかモノになってくる。そういうもんや。

⑤ 試験案内・待遇等

1.試験案内

国土交通省の船舶系技術職員採用試験のご案内
(2026年度試験を例)
次年度案内は毎年2月を目途に国土交通省ホームページに掲載

海事技術専門官になるには

海事技術専門官になるには、国土交通省の船舶系技術職員として採用される必要があるんや。そのための試験は2つあって、図の①②どちらかの試験を通過する必要があるで。他の国家公務員と違うのは、人事院の試験とは別に、国土交通省としても専用の採用試験を実施しているというところや。具体的には②の船舶系技術職員採用試験がそうや。とくに、商船・水産系、造船系、機械系の学問を専攻されている皆さんで、最初から海事技術専門官を目指している方の場合は、試験内容的にも、知名度が低いという観点からも、是非②の船舶系技術職員採用試験の受験を検討してみてくれな。なお、①の人事院の国家公務員採用一般職試験の場合は、「行政区分」以外の区分であれば官庁訪問を受け付けているで。具体的には、「デジタル・電気・電子」「機械」「土木」「建築」「物理」「科学」「農学」「農業農村工学」「林学」並びに「教養区分※」の方を対象としているで。(※令和8年度より「教養区分」が新たに対象となりました。)なお、①と②の試験は毎年必ず第一次試験が同日に実施されるから、どちらかしか受けることはできんから、この点については注意が必要や。採用後は、海事技術専門官以外にも、国土交通省の本省勤務や、他省庁への出向、大使館・総領事館といった海外勤務並びに海外留学などの道もあるで。船とは海を往く乗り物であり、そして、その海は世界とつながっているから、船にかかわる公務は、結果的に国際色が豊かなものになるという点が、他の省庁と大きく違う特徴なんや。もちろん「海事技術専門官」という仕事を極めていくという道もあるし、本人意向次第で、海外勤務を含めて色んな可能性を見いだせるのが、他の省庁と比べた当局の魅力といえるで。

Check 2
船舶系技術職員採用試験の内容

試験は、一次が筆記、二次が面接や。一次の筆記試験には、大きく3つあって、基礎能力試験1つと、専門試験2つの計3本立てになっているんや。このうち専門試験の2つについては、過去5年分の試験問題が国土交通省のホームページ上で掲載されているで。(※多枝選択式については、正答まで公開しています。)海事分野の近況に関する知識は、国土交通省が毎年発表している海事レポートなどを参照していただくと、試験の参考になることはもちろん、最近の船にかかる事情もよく分かってもらえると思うから、ここであわせて紹介しておくで。(末尾のリンク先からもいけます。)

専門試験の過去問の掲示先

https://www.mlit.go.jp/saiyojoho/event/shipbuilding.html


海事レポート2025

https://www.mlit.go.jp/maritime/maritime_fr1_000098.html

Check 3
商船高等専門学校(商船高専)や商船・水産系の大学の学生の皆様へ

商船高等専門学校(商船高専)や商船・水産系の大学の学生の皆さんは、学校で学んだ知見がフルに活用できるという点で、当局業務は強くお勧めできるで。また、船のことが好きでこれらの学校に入ったけど、「知識を生かして船に関わる仕事をしたいが、船酔いだけはどうにも慣れないので、陸上勤務がいい」と考えている人も、もしかしたらいるんやないか?そういった方にこそ、海事技術専門官の仕事はぴったりとはまると思うで。是非、将来の選択肢の一つとして検討してみてくれな。なお、採用試験に合格できた後に、学校で行われる乗船実習のタイミングと採用のタイミングが重なりそうな場合は、採用タイミングを調整することが可能なんや。詳細は表のとおりで、試験案内にも書いているとおり、商船高等専門学校の卒業予定の方や、乗船実習科等の修了予定の方は、試験合格翌年の4月1日ではなく、翌年10月1日からの採用とすることが可能なんや。その他、何か不明な点があれば、ページの末尾で示している最寄りの地方運輸局に問合せしてみてくれな。




Check 4
採用予定数及び2026年度実試験実績

国土交通省船舶系技術職員試験の試験案内にあるとおり、2026年度の採用予定数は「10名程度」とされていたところや。これに対し、試験結果は、申込者数は全国で14名、最終合格者数は8名となったんや。この試験は、最初から国土交通省の船舶系技術職員になることを目的とした試験やから、繰り返しになるけど、とくに、商船・水産系、造船系、機械系の学問を学ばれている皆さんで、最初から海事技術専門官になることを目指している方は、試験問題の内容が学校で学んだ科目の延長にあるということはもとより、試験の知名度自体が比較的低いということ、官庁訪問のような手続きが不要という点からも、人事院の試験ではなく、こちらの試験を受けていただいたほうが色々とメリットを感じられるところがあると思うから、是非受験を検討してみてくれな。

(出典参考)
https://www.mlit.go.jp/saiyojoho/event/shipbuilding.html

2.待遇等

海事技術専門官の給与

 海事技術専門官は、人事院試験の名称上では「一般職」という区分から採用しているから誤解を招かれがちやけど、職務内容は技術的な知見が求められることになる専門職なんや。俸給上でも明確にこのことが裏付けられているで。表にあるとおり、海事技術専門官は、人事院の統計対象となる国家公務員の中では、全体の約3%ほどしか存在しない「専門行政職俸給表」に従った給与体系で、かなりレアな俸給を得ているんや。おおよそ40代前半くらいの全体平均で見る限り、一般職となる職員のほとんどが所属している行政職俸給表(一)と比較すると、月額ベースで約4.7万円ほど多いことが分かるな。この給与月額は賞与(ボーナス)の算定にも影響するから、年収ベースでみるとさらに差は開くことになるな。学校で理系を専攻していた方や、高等専門学校(高専)などで技術系の知識を学んだ方ならなおのこと、給与面でも一般職の職員とは差別化されてみたいと思わんか?。仮に他の省庁で技官として入局したとしても、俸給上は一般職の職員官と差別化されていない官署がほとんどなんや。この給与面で優遇されているという事実は、海事技術専門官のアピールポイントの1つやで。

業務に必要となる学問

 船の技術基準は、工学系要素を中心に、概ね図のように整理されるんや。それぞれの項目に対して、青字で書かれている学問が、業務上で下地となる学問となるで。また、これらとは別途、船舶運航にかかる知識も一部必要となってくるから、とくに、商船・水産系の学校出身の方は、学校で学んだ知識をフルに活かせる環境といえるで。ただし、すべての分野に精通している人間というのは基本的におらんで。誰でもやったことのある学問とやったことのない学問があるはずや。
 船舶系技術職員のうち、海事技術専門官は、現在、全国の地方運輸局をあわせると約300名ほどいるんや。各々の職員の出身専攻は様々で、商船・水産系、造船系、機械系、航空系、電気系、建築系、土木系、材料系、物理系、化学系など多岐にわたっているで。誰にでも得意・不得意の分野があって当然で、皆、切磋琢磨しながら業務に励んでいるんや。船とは全く関係ない分野出身の海事技術専門官も多数いるで。当局は全国的な国家公務員の組織としては、数少ない、品質管理体制の社会的な証明ともいえる「ISO9001」を取得・維持している組織なんや。このため、若手職員への教育や研修については内部手順で明確に定められていて、各種研修制度は他省庁と比較しても間違いなくトップクラスに充実しているで。だから、自身にとって未履修の分野であっても、努力を怠らず、習得しようという志をもって、業務に励んでいきさえすれば、十分に対応できるようになる、というのがワイ自身の経験を踏まえた感想や。

転勤について

当局は、ほぼ全ての海のある都道府県に出先機関があって、基本的にいずれかの官署に勤務することになるで。また希望すれば在外公館などの海外勤務もあるんや。海事技術専門官は、特定の地方運輸局の中だけでの転勤とはならない場合が多いんや。というのは、船の場合は、地域ごとに見る機会の多い船種が変わるという特徴があって、例えば、漁船が多い地域、タンカーが多い地域といったように、各地域によって主たる船種に違いが出てくるんや。このため特定の場所に居続けると特定の船種しか見たことがないという状況に陥ることから、様々な船種を体験しながら、自身の知見を増やしていくために、とくに20代のころは、多方面の地域を回ることになる場合が多いで。現状では、転勤は概ね2~3年おきくらいに出るというのが相場や。毎年、人事面談を経て、本人意向も踏まえた上で、各人ごとに決定されていくから、一概に、全員が毎回この頻度で転勤をしているとも言えないんや。各人それぞれの個人事情等によっても異なってくる、というのが実情や。いずれにしろ、海事技術専門官にかかわらず国家公務員全体としてみた場合、地方公務員よりも広域転勤となりえるというのは概して事実やと思う。この転勤を「プラス」と捉えるか「マイナス」と捉えるかは人それぞれかと思うが、ワイ自身はプラスと捉えているんや。なぜか。ワイが社会に出てみて感じたのは、社会人になって最も辛いと感じるのは、「仕事内容」じゃなくて「人間関係」だということや。自分とソリが合わない人間には、働いていれば必ず出会う。もしそういう人間と当たってしまって、しかも転勤がない職場、あるいは非常に狭い範囲での転勤しかなかったら、色々と辛いと思うんや。そう考えると、「転勤が全くない」というのは、実はいいことばかりでもないような気がしているんや。もちろん価値観は人それぞれだから、何とも言えんが、転勤は悪いことばかりではなく、自身の環境をリセットすることにもつながり、色んな見分を深めることができる機会と捉えることもできるんやないかな。

⑥ 教えて!検子たん

このコーナーでは、現役の海事技術専門官であるワイが、学生の皆さんの進路相談や、一般の方から頂いた様々な質問について、これまでにないレベル(当局比)で、踏み込んでお答えするで。

1.進路検討編

Q:人事院試験の受験者です。官庁訪問にあたって、色々な省庁の仕事を調べています。他省庁と比較して、国土交通省の海事技術専門官の強味・魅力ってなんですか。

大きく4点を挙げるんや。まず①として、業務内容が高い独立性を有しているという点や。国家公務員が業務で苦労することの一つとして物事をすすめていくにあたっての組織内での意見調整があるんや。一般の行政職の場合、どこの官庁に入ろうとも、間違いなく入局後にそれを経験することとなるで。しかし、海事技術専門官は技術系の専門職や。何年もかけて知見と経験を積み上げていく仕事で、局内の他の行政部門とは完全に独立しているから、組織内部での調整事項といったものは一切発生しないで。ワークライフバランスの観点からもこれは公務員としてやっていけば、長じて必ず感じることができる最大のメリットや。②については先にも述べたとおりや。給与は一般の行政職と俸給表上から明確に差別化され、優遇されているで。ただし、その分だけ自身に振られている裁量も大きく、求められる知識も、その差額分だけ発生しているという自覚は必要や。そのための自己研鑽は積んでいく必要があるで。③として、様々な船に乗り、様々な事業場を訪問する機会があることや。海上試運転など仕事で船に乗る機会は当然頻繁にあるし、仕事終わりに、海の向こうの水平線を眺めていると、すかーっとできるで。それを休日じゃなく、平日に仕事でやれるんや。これを役得と言わず、なんというんや。④については、個人差もあるかもしれんが、とくに海外志向のある方には、この仕事はかなりお勧めできるで。海外の造船所で日本籍の旅客船を建造するということもあるから、その場合、海外にも検査に行くんや。海は世界とつながっており、船とはその海を往く乗り物や。だからこの仕事は自然と国際色豊かなものとなるんや。とくに国内法令だけでなく、国際条約まで見る仕事、というのは他の国家公務員の組織ではほとんど見られないと思うで。より広い視野をもって世の中を見渡せるようになる、というのも魅力の一つとして最後に挙げておくで。

Q:海事技術専門官の業務のうち、自分のやりたいのは外国船舶監督官なんですが、そういった業務指定は可能なんでしょうか。

A:基本的に入局当初の20~30代のころは3官すべての業務を経験しながら、知見を増やしていくことになるんや。技官の場合、外国船舶監督官には、まず船舶検査官や船舶測度官の業務を経て、ある程度、船を技術的な観点でみる目を養ってから着任することになるのが一般的やな。あくまでも一例やけど、まずは入局後に、船舶測度官の業務を経て図面の見方や船の構造を学習し、船舶検査官の業務を経て、船の構造強度や復原性、施設される設備の詳細等の工学的素養を、現場と研修を織り交ぜながら蓄え、その後に外国船舶監督官になるという流れが考えられるな。といっても、外国船舶監督官は、船舶検査官や船舶測度官の上位職という意味ではないんや。それぞれの業務が、ここまでに説明してきたとおり、何年もかけて、知見・相場観を体に染み込ませていく業務であり、この3つはそれぞれに関係しつつも、それぞれに違うベクトルを持っている業務と言えるで。いずれにしろ、これらの業務は1~2年程度従事したところで習熟できるような仕事ではないので、これら3官の知識を満遍なく蓄えつつ、40代以降くらいになって、自身が極めたい道を選んでいくという流れになるのが、現状の一つの流れといえるんじゃないかな。それに、実際に従事してみて、自身に向いている業務やより関心が持てる業務に気づくこともあるから、まずは自身で範囲を絞らず、何事にも従事してみて、それから考えてもええんじゃないかと思うで。

Q:私は4年制大学の学生ですが、留年している場合の船舶系技術職員試験の受験条件はどのようになるのでしょうか。

A:2026年度の船舶系技術職員試験の受験資格は、図の①か②のどちらかを満たせばいいことになっているで。①は単純な年齢条件で、②は主に、学校卒業済か翌2027年に卒業見込の方向けの条件や。この2026年度試験を例として、2026年4月時点で4年制大学の2年生で、かつ満年齢が23歳の人で考えた場合、そもそも②の前提となる2005年4月2日以降生まれという条件を満たせていないから、②の条件には該当しないんや。しかし①の条件を満たしているから、大学2年生であっても受験することは可能や。なお、①は純粋な年齢条件だけなので、この年齢さえ満たしていれば、現在在学中かどうかはもちろん、そもそも学歴そのものが一切問われないんや。(ただし資料下部に記載の「この試験を受けられない者」に該当している場合は受験はできません。)なお、この例(4年制大学の2年生・23歳)の場合、仮に2026年度に船舶系技術職員試験を受験して最終合格となったら、4年制大学を卒業するまで採用を引き延ばすということは制度上できないからその点だけは注意が必要や。

Q:私は現在、海事業界で働いています。海事技術専門官への転職を検討しているのですが、年齢の関係で船舶系技術職員試験の受験条件を満たせません。社会人の中途採用制度のようなものはないのでしょうか。

A:すでに社会人経験がある方を対象として、近年は、毎年秋頃を目途に、選考採用の募集が行われているのでこちらに応募いただくのがいいと思うで。なお、選考採用の場合、必要書類の提出のみで、原則年齢制限はなく、筆記試験もないんや。令和8年度の募集要領は図にあるとおりで、現在募集中です。(クリック、タップして拡大可能です。)(応募期間:令和8年9月11日(金)~令和8年11月20日(金)まで)
募集要領にあるとおり、一定の学歴要件と、一定の海事関係業界で働いた経験が4年以上というのが条件となっているな。なお、次年度以降も毎年必ず募集があるかは分からないので、その時点年度での選考採用募集の有無・時期等や、そもそも自身の経歴が募集条件に該当しているかどうか不明な場合については、ページ末尾に示す、お住まいの地域の最寄り運輸局まで連絡のうえ確かめてくれな。

(参考:令和8年度の選考採用募集案内)

https://www.mlit.go.jp/report/press/kaiji08_hh_000126.html

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Q:毎日の仕事の基本サイクルみたいなものってありますか。とくに若手職員の方の現実が知りたいです。

A:毎日の仕事の基本サイクルって、日々の自身の生活に直結するから知りたいと思うよな。ここでは実際に、今現在、船舶検査官、船舶測度官、外国船舶監督官のそれぞれの業務に従事している3名の若手職員にコメントを出してもらったで。是非こちらを参照してみてくれな。(クリック・タップして拡大が可能です。)

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Q:私が学校で専攻している学科は工学系ではありません。海事技術専門官の業務は務まるのでしょうか。

A:試験案内のところを見てもらって分かる通り、海事技術専門官は、基本的には工学系要素の下地が必要となってくる専門職や。しかし、当局にはそもそも工学系以外の出身職員も多数在席しているで。また、当局は全国的な国家公務員の組織としては数少ない、品質管理体制の社会的な証明ともいえる「ISO9001」を取得・維持している組織なんや。このため、若手職員への教育や研修については内部手順で明確に定められていて、各種研修制度は他省庁と比較しても間違いなくトップクラスに充実しているで。だから、業務に関心をもって、知識を取得していこうという前向きな意志さえあれば、十分に業務に対応していくことは可能や。一番大事なことは工学系出身かどうかではなく、入局後も学び続け、この仕事ときちんと向き合っていこうとする意志がその人にあるかどうかなんや。ここでは実際に、学生時代に工学系以外の分野を専攻していた当局若手職員2名からコメントをもらっているから、これらの情報も参照してみてくれな。(クリック・タップして拡大が可能です。)

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Q:私は女性ですが、現状、女性職員はどのくらいいるのでしょうか。また女性職員の方が感じる海事技術専門官の業務印象はどんなものですか。

A:現在、国土交通省の船舶系技術職員は、全国の地方運輸局合計で約300名、国土交通本省やその他関係機関への出向者まで合わせると約500名ほどになるんや。このうち女性は約30名ほどいて、海事技術専門官として全国の地方運輸局で活躍しているで。構成比としてはまだまだ男性が多いんやが、当局では、女性の皆さんにも、この海事技術専門官という仕事に関心をもってもらいたいと考えているんや。当局の女性海事技術専門官2名から業務に対する印象等についてコメントをもらっているので、海事技術専門官を検討していたいだいている女性の皆様は是非こちらを読んでみてくれな。(クリック・タップして拡大が可能です。)

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2.海事制度・海事産業編

Q:船は造船所でどのような工程を経て作られているんですか。

A:ここでは、一般的な鋼船(鉄でできた船)について説明するで。鋼船は、船体をブロック単位で分割して製造し、それらブロック群を溶接でつなぎ合わせて作られているんや。この場合、水面下部分や船の前端後端部分となるブロックのように、外板が流線形になる箇所が多数出てくるんやけど、これらの部分はぎょう鉄といって、造船所のベテラン職人の方々が、鉄を火であぶって巧みに変形させることで、惚れ惚れするほど美しいラインを実現しているんや。また造船所のドックから船を水面に降ろすことを「進水」というんやけど、進水というのは船が完成したことではないんや。進水式の映像がテレビで流れることがよくあるけど、これはまだ完成じゃないんやで。この時点ではまだ全体の工程の半分程度や。その後は艤装(ぎそう)という船内の仕上げ工事をする工程に入っていくけど、これは船を水面に浮かべた状態で行っていくんや。そのほうが、その後の陸上からの備品の積込みが楽になるし、それまで船を作っていた造船所の船台が空くことによって、造船所も別のお仕事をとってこれるやろ。だから結果的にこういう工程となっているんやな。

Q:船の種類で「外航船」とか「内航船」とか分けているのをよく聞くんですけど、これってどういう意味ですか。

A:まずは「国際航海」という言葉を押さえる必要があるんや。国際航海とは、「一国と、他の国との間の航海のこと」や。要するに、国と国との間の人・物の行き来に携わる航海ということや。この国際航海をする船のことを「外航船」、国際航海しない船のことを内航船というんや。裏を返せば、日本にやって来る外国船は、すべて「外航船」ということになるわけやな。外航船になると、国際条約の基準を満たした設備を備える必要があるから、船の技術基準は一気に厳しくなるんや。逆に内航船の場合は、国際航海をしないわけやから、国際条約の基準を参考に、安全に支障のない範囲で、日本の法律で技術基準を国際条約に比べて緩和しているんや。

Q:大型の船の側面中央部に付いている不思議な模様のマークはなんですか。

A:満載喫水線の標識や。満載喫水線(まんさいきっすいせん)は、船を沈めることができる限界線のことで、一定以上の大きさ・航行区域の船には標示が義務付けられているんや。人や物が船に載るとその分だけ船が沈むやろ。その船を沈めてもよい限界線を示しているんや。結果的に、その船が一航海で積むことができる運送量の限界を示しているということになるな。この限界線は法令の基準に従って高さ方向の位置が算定されていて、船舶検査官は、新造時の設計審査はもちろん現場検査の際にも毎回チェックしているんや。このマークには図のとおり色んなものがあるんや。国際共通のもあれば、日本オリジナルのマークもあるで。各マーク中にある横線部の上縁がその船を沈めることが可能な限界線を示しているんや。1つ前の質問で、外航船と内航船について説明したんやが、国際航海をする外航船の場合は、国際条約で決められたマークでないといけないから、日本オリジナルの標識は、基本的に内航船だけのものや。だから満載喫水線の標識を見るだけで、船種や航行区域、内航船か外航船かの見分けはある程度まではつけられるで。

3.工学理論編

Q:そもそも鉄で出来た船が、どうやって水に浮かんでいるんですか?

A:アルキメデスの原理という物理法則で説明できるんや。これは、「液体中にある物体は、その物体が押しのけた液体の重さと同じ大きさの上向きの力(浮力)を受ける」というものや。全く同じ重さの「鉄の塊」と「鉄の船」という前提で比較して考えると理解しやすいと思うで。まず、中身がぎっしり詰まった鉄の塊を水の中にいれたら、そのまま「ドボン(水に沈む。)」となるのは直感的に分かるよな。これは鉄の塊の体積が小さいため、押しのける水の容積も小さい結果、水により発生する浮力よりも、鉄の塊の重量のほうが上回ってしまうからなんや。しかし、この鉄の塊と同じ重さの鉄の船の場合、中は空洞やから、重さが同じなら、鉄の塊よりもその体積は大きくなるよな。この船をでっかい巨人かなんかが、せや!と抱えて水に中にいれたら、この鉄の船のほうが鉄の塊よりも体積は大きいから、押しのける水の容積もその分だけ大きくなるんや。その結果、水により発生する浮力が、鉄の塊のときよりも大きくなるんやな。そして、鉄の船の重量と浮力がバランスしたところの深さになったところで、その船は沈むのをやめるんや。要するに水に浮くということやな。だから、どれくらいの重量で、どれくらいの水を押しのけるくらいの体積となるかを見越せば、どれくらいの深さで船が水に浮くというのは、予め計算できるということやな。

Q:稼働中の船の側面に開いた穴から水が流れ出てるのをよく見るのですがあれはなんですか。

A:実はワイも子供のころ、ずーっと疑問に思ってて「オトン!船の横からバリバリ水が漏れてるで!やばいんちゃうか!」と、いつも聞いていたんや。だから、この質問はバリバリ気持ち分かるで!これはな。エンジンの冷却海水を船側から排水しているんや。具体的には、船のエンジンを冷却している清水を、海水で二次的に冷却していて、熱を持った海水が船側から排出されているんや。船が浸水しているわけではなくて、正常稼働の証拠や。船の場合、船底にあるシーチェストと呼ばれる区画から海水を吸い上げて、このエンジンを冷却する清水を二次的に冷やしているんや。そして、前述のとおり、冷却清水から熱を引き継いだ海水を、船の側面から船外に排出しているんやな。新たな冷却用の海水は、また船底のシーチェスト区画から船内に引き込むわけや。ちなみに自動車や水冷エンジンを搭載したオートバイの場合、エンジンの冷却清水は、ラジエーターと呼ばれる部位で走行中に外気で冷やされているんや。これが、船の場合は海水で冷やしているわけやな。(海には海水だけはたくさんあるからな。)
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Q:船の推進機構や動力機関にはどういったものがあるのですか。
A:船には、内燃機関を駆動して水面下でプロペラを回転させて進む船はもちろん、色んな推進機構・動力機関をもつものが存在しているんや。これらが実用レベルで数多く存在するところが船の魅力の1つといえるで。海事技術専門官は、これら様々な船の検査に携わるから、乗り物の動力理論が好きな人にはとても魅力を感じられる仕事やと思うで。ここではそのほんの一部を紹介するで。

一般的な貨物船の機関仕様

一般的な貨物船は、機関としてディーゼルエンジンを搭載しているんや。機関は複数搭載されていて、船の推進を担当する主機関1基と、各種船内電源を担当する発電機を駆動するための補助機関2基で構成される仕様が一般的や。ちなみに自動車の場合は、1つのエンジンでタイヤを回す動力を生み出し、かつ空調などの車内電源も賄ってるけど、船の場合は複数のエンジンを搭載し、それぞれが、「船を動かす役割」、「船内に電気を供給する役割」といった感じで、エンジンごとに役割を明確に分担しているんやな。

電気推進船

電気推進船の場合、電動機(モータ)がプロペラ軸と直結しているんや。機関がプロペラ軸と直結している一般的な仕様より、船内振動が大幅に低減されるため、船内の住環境は向上するで。ただ、見てわかるとおり、動力の伝達経路が複雑化するため、燃費やメンテナンス性の悪化など別の課題が生じることになるな。なお「発電機は動力を電力に変えるもの」「電動機(モータ)は電力を動力に変えるもの」、という真逆の関係であるとみると、動力伝達のイメージが分かりやすいと思うで。余談やが、電気推進といいながら、結局元をたどるとディーゼルエンジンの駆動がベースなんやな・・とワイはいつも思ってるんや。日本語って難しいな。

エアクッション艇

いわゆるホバークラフトや。2026年現在、日本では唯一、大分県で商業運航されているで。ディーゼル機関で駆動されるリフトファンで船体下向きに風を送り、この風でスカート部を膨らませて海面に浮かびあがることで水による推進抵抗をなくし、背面にあるプロペラを回転させて推進するで。陸上の滑走路をドリフトしながら離着水し、海面を滑走していく姿は大迫力や。ただ、推進原理上、水面下に船体が全くないことから横風や波浪に極めて弱いことから、離島航路のような沿海区域以上の航路の用途には向かんで。湾に囲まれた穏やかな航路(平水区域)で就航してるんや。本船は旅客船やから、皆もぜひ機会があれば乗ってみてくれな。

水中翼船

国内各地の離島航路で多数就航している「全没翼型水中翼船(ジェットフォイル)」は、航空機の船バージョンで、推進原理や整備方法も航空機と全く同じなんや。航空機は翼(よく)が本体左右にあるけど、水中翼船はその名のとおり、翼は水中(水面下)にあるんや。ガスタービンエンジンが生み出す動力で、ウォータージェット(WJ)推進器を駆動して後部ストラット中央から海水を吸い込み、それを船尾側ノズルから放出し、その反作用で前進するんや。その結果、水中翼は揚力を得て、船体が浮上する仕組みやな。船体の本体部分は海面から浮かび上がるので、波浪の影響を受けにくく、コンピュータによる自動姿勢制御により船体は安定して直立状態を保つことができるで。最大約45ノット(≒時速83km)の速度を出すことが可能で、フェリーでの移動と比べ移動時間は大幅に短縮され、船酔いしにくい快適な船の旅ができることから、我が国では30年以上前から国内各地の離島航路で就航している実績があるんやで。皆もぜひ機会があれば乗ってみてくれな。

ハイブリッド型電気推進船

「内燃機関駆動発電機」、「水素燃料電池」、「リチウムイオンバッテリー」の3つから電力を供給する、ハイブリッド型電気推進船も近年国内でデビューしたんやで。化石燃料のみで動かす従来の方法と比べて大幅に二酸化炭素(CO₂)を削減することを可能とした船や。そもそもから、プロペラ軸が電動機(モーター)とつながっている電気推進船のため、電池駆動していないときでも乗り心地は非常によく、音も静か。ここからさらに、電力供給を電池駆動に切り替えたときは、機関が完全停止し、駆動音や振動が完全にゼロの状態で航走するため、不思議な感覚が味わえるで。本船も旅客船やから、皆もぜひ機会があれば乗ってみてくれな。

LNG燃料船

油ではない燃料を用いて推進する船も現在続々と登場してきているんや。ここでは最後に、LNGを燃料として推進する船を紹介するで。LNGとは Liquefied Natural Gasの略で、「液化天然ガス」のことや。普段の生活では、都市ガスとして使われるているその大元がこのLNGやな。天然ガスは約-162℃ まで冷やすと液体になるんやけど、船で運ぶときはこの液体の状態にして運ぶんや。なぜ液体にするか?それは気体のときより体積が約600分の1になるからや。つまり気体のときより600倍多く運べるというわけやな。天然ガスは従来の油燃料と比較して、CO2、NOX、SOXの排出量が少なく、環境性能が優れていることから、世界的にもLNG燃料船の導入は進んでいるんや。心臓部となるエンジンは、従来の油と天然ガスのいずれも燃料として使用できる「二元燃料エンジン」が一般的や。これは、LNGが補充できなかった場合や、入出港時などで柔軟に船を動かしたい場合などは従来の油駆動でも可能なようにしているということやな。自動車でいうとハイブリッドカー(電気とガソリン)のイメージに近いと思うで。船内で低温を維持できるよう魔法瓶のようなLNG燃料タンクを積載し、同タンクから何もしなくても自然発生してしまうガスと、蒸発器で強制的に液体から気化させたガスとを圧縮機で高圧化してエンジンに供給することでエンジンの回転力に変え、それでプロペラを回して推進するんや。

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番外.ワイの装備編

Q:検子たんのヘルメット前面に書かれているJGってどういう意味ですか。

A:Japanese Government、つまり日本政府の略なんや。船を検査する機関はこういったアルファベットの略称で呼称されることが業界の慣例になっているんや。先に説明した満載喫水線マークの両隣にその船の検査機関の略称を付与している船もあるで。なお、船舶検査機関には様々なアルファベットの略称があって、例えば、非旅客船の日本船の検査を法令上、国に代わって検査できる日本海事協会はNKと呼ばれているし、同じく20トン未満の船を法令上検査できる小型船舶検査機構はJCIと呼ばれているんや。ワイらも、日本船に対する船舶検査機関という観点で「国土交通省」や「運輸局」ではなく「JG」と関係事業者の方々から呼ばれることも多いんや。このJGマークが、船舶検査官・船舶測度官を示すアイデンティティなんや。国土交通省の職員であると同時に、JGという船舶検査機関ともいえるわけやな。

Q:検子たんが手に持っているハンマーはどのように使うものなんですか。

A:このハンマーは、テストハンマーといって、船体等の状況を確認するために、部位を適度な力でハンマリングし、その打音を聞いて、損傷や摩耗等の状況を判断するための船舶検査官の必携アイテムや。バリバリぶっ叩いて、会心の一撃を見舞うような代物ではないで。片側の尖っている端部は、腐食状況などをより深く査定するためにコツコツ穿つような使い方をすることもあるんやで。何度も現場を重ねて熟練していくと、ハンマリングして返ってくる打音だけで欠陥の有無を判定することもできるようになってくるんや。
このコーナーで取り上げて欲しい海事技術専門官の仕事内容や、船に対する質問・疑問があれば、以下までレッツ・イーメーオッ!
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